(実体験)日本政策金融公庫創業融資

大阪市都島区のBiz Bloom(ビズブルーム)経営会計事務所の税理士室田です。
すっかり遅くなってしまいましたが、以前私のSNSでお伝えしておりました、日本政策金融公庫からの創業融資について実体験を基に記事を書かせていただきます。

融資を受けてお金を借りる意義

よく「無借金経営」が理想だとされますが、会社の最終形として「無借金経営」にたどり着くのが理想です。
しかし、借入にも次のような意義があり、成長段階にある会社にとって融資を受けることにより素早くお金を入れることができるので、変化が激しい時代にあって自己資金が貯まるのを待っていてはチャンスを逃してしまうような現代では、融資を受けることも考えてみてはいかがでしょうか?

融資を受ける意義① 時間を買う

先ほどお伝えしたこととほぼ同じですが、なんといっても「時間を買う」というのが最大の意義になると思います。
仮にある事業に1億円のお金を投入したいと考えた場合、年間の利益が1千万円だとすれば、自己資金だけでその事業をするには10年間もかかってしまうことになります。
「ドッグイヤー」ともいわれるほど変化の激しい時代ですので、10年もお金が貯まるのを待っていてはチャンスを逃してしまうことになりますので、融資を受けることにより事業に必要な1億円を一気に調達することができます。

融資を受ける意義② タイムラグを埋める

飲食店などで支払いが現金のみの方は関係ない話ですが、クレジットカード決済や法人相手の業種だと多くの場合、商品を販売したり、サービスを提供してもすぐにお金が入ってこないことがあります。(決算書で「売掛金」とあるのはこのことです。)開業後時間がたっている方だと別ですが、新規開業の方はお金が入ってこない期間があります。
その期間でも家賃や従業員を雇っていれば支払いが発生(これを一般的に「運転資金」と言います。)しますので、この期間を耐えしのぐために融資を受けることもあります。

融資を受ける意義③ 安心材料

事業を営んでいくうえで、最も欠かせないものの一つが「お金」であり、お金がなければ給料や家賃の支払いができないために最悪の場合事業を続けることができなくなってしまいます。
なので、手元のお金が少ないとどうしても先のことを考えてしまいます。
一方で創業直後の経営者の最大の課題は、自分の商品やサービスをいかにアピールしていくかで、できればこれに全力を注ぎたいところですが、ここでお金の悩みがあるとどうしても全力を注ぐことができなくなります。
そのための安心材料としても融資を受ける意義があると言えます。

スケジュール

私は融資サポートをする場合、お客様に「資料の提出から入金までは一か月程度あると考えて余裕のあるスケジュールを立ててください」とアドバイスしていますが、私の場合のスケジュールはこのような感じでした。

5月下旬 資料入手
6月22日 資料郵送
6月29日 当事務所にて面談
6月30日 審査OKの回答
7月 2日 借用証書等書類入手
7月12日 借用証書等返送
7月16日 着金

という感じです。
借用証書を入手してから返送まで10日ほどかかっておりますが、これは単純に、当事務所で7月の初めに新規のお客様と相次いで契約したため、対応が後回しになってしまったせいで、借用証書の記載が大変だったという訳ではありません。
なので、もし借用証書を早く返送すれば6月22日資料提出、7月初旬提出と2週間ほどで融資を受けることができるようなスケジュールです。

提出書類

創業融資に際して、日本政策金融公庫が指定する資料で、新たに作成する資料は、
基本的に①借入申込書、②創業計画書、③(業種によっては設備投資などの見積書)の3種類です。(日本政策金融公庫ホームページ
しかし、はっきり言うとこの3種類だけでは不十分だと思います。
審査をするのにはあまりにも情報が少なすぎると思います。
なので、私は、追加で以下の書類を提出しました。
① 経歴書(転職活動などで使う職務経歴書とほぼ同じです。)
② 自社の強み(他の税理士事務所と比較しての自社の強みと課題をワード3枚にまとめました。)
  ③の事業計画は、数字中心で定量的な話ですが、これについて定性面での説明になります。
③ 事業計画(財務数値中心に自社を説明します。)

ご参考までに、私が提出した②と③の資料を掲載いたします。
  

融資を受ける前提

融資を受けるに際して前提条件として、「クレジットカードや携帯料金などの滞納がないこと」があります。
CICなどの機関が各自の過去5年間のクレジットカードなどの返済状況のデータを集積しており、日本政策金融公庫は融資の際、過去の返済状況を見ているようです。
自分でもレポートを申し込めばデータを見ることができますので、気になる方は一度レポートを見てみるのも良いのではないでしょうか?窓口で依頼するほか、郵送やインターネットで開示してもらうことも可能ですので、窓口に足を運ぶ時間のない方でも閲覧が可能です。
ちなみに、私も自身のレポートを見てみましたが、以前の勤務先で付き合いで作ったカードの履歴なども残っており、驚きました。
2枚目がクレジット情報で、一番下の「入金状況」でAやBといったアルファベットの記載があれば要注意です。

審査のポイント

クレジット情報で滞納がない前提で、銀行が借入の審査をするポイントは次の3つと言われています。

①過去の経験
 融資を受けようとする以前に同様の業種か職種で5年程度の経験が必要と言われています。

②自己資金
 融資を受けようとする金額の30%程度の自己資金
 この場合の自己資金は、銀行口座に3~6か月間ずっと残しておく必要があります。
 融資を受ける1日前に口座に入金するという方法では自己資金と認められません。
 ※日本政策金融公庫のホームページでは最小で10%とされていますが、実務上30%が下限になると考えた方が
  良いと思います。

③事業計画
 銀行は「貸したお金が返ってくるのか?」を重視しますので、将来自社のお金の流れがどのようになるかを、
財務三表」と呼ばれる、「損益計算書」、「貸借対照表」及び「キャッシュフロー計算書(または資金繰り表)」
 を使って示すことが重要です。多くの場合、売上高や利益を示す損益計算書は作成されていますが、返済の原資と
 なる資金を示す「キャッシュフロー計算書」がないため、審査に苦労するようです。(場合によっては、銀行側で
 作成し、その内容次第では審査で不利になることも考えられます。)
 先ほど掲載した私の事業計画でも、赤く囲んだ部分で返済原資となる資金を示しています。
 (すみません、数値は隠しております・・・)
 また、希望的な見通しに基づき楽観的な計画を作っている場合は要注意です。銀行は悲観的な場合でも返済される
 かを考えますので、希望的な見方と共に「最悪でもこのぐらいは大丈夫」という悲観的な場合でも融資が返済でき
 るかを示すことが重要
です。
 また、この場合に売上や経費の根拠となる資料があれば完璧です。
 
 ※「創業融資支援」を掲げている業者の中にも「損益計算書」しか作らない業者も多いようですので、
   創業融資支援を申し込む際には、「貸借対照表」や「キャッシュフロー計算書」を作ってもらえるかも
  確認しましょう。もちろん、当方では3つとも作成いたします。

担当者との面談

銀行が資料を受領すると、面談の日程調整の連絡があります。

準備物

その際、当日の準備物の連絡を受けますので、面談当日までに準備することになります。
ちなみに、準備物に不備があると、再提出が必要で、融資を受けるまでの時間が長くなってしまいます。
私の場合、①免許証、②(勤務時代の)源泉徴収票、③税理士証票(資格を示すもの)、④通帳コピー(事業用と生活用両方)でした。

当日の問答

面談当日聞かれたことはこんなことです。
① 近年税理士も数が増えてきているが、どう差別化していくか?
② 税理士として開業する前の経歴
③ 事業計画についての説明
  特に、下振れするリスクについて聞かれました。
④ 3か月間の通帳の動き
⑤ 預金以外の資産
  (アメリカ時代の米ドルの預金や証券など)

税理士との連携

当日担当者から聞いてお話ですが、日本政策金融公庫は税理士との連携にも力を入れており、顧客で創業融資を考えている方がいたら是非紹介してほしいとのことでした。
日本政策金融公庫のホームページにもこのような案内があったりします。

このような形で、自身が融資を受けた経験を書きましたが、ホームページにも記載しているとおり、当方ではお客様の資金調達のサポートも積極的にさせていただいておりますので、融資を受けたいが申し込み方が分からない、自分自身で対応する自信がないというお客様がいらっしゃいましたら、こちらからお問い合わせください。

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