顧問税理士を変更する方法

大阪市都島区のBiz Bloom(ビズブルーム)経営会計事務所の税理士室田です。
当方にお問い合わせをいただくお客様の中には、新規で開業されて初めて税理士と契約される方もいらっしゃいますが、税理士変更される予定の方も少なくありません。
本日は、顧問税理士を変更する場合の注意点についてご説明させていただこうと考えております。

税理士を変更するための手順

最もスムーズにいくと思われる税理士変更の手順は以下の通りです。

  1. 既存の税理士との契約内容を確認する
  2. 新たな税理士と契約する
  3. 契約を解約する旨を伝える
  4. 必要な資料を返却してもらう

この各々について説明していきます。

既存の税理士との契約内容を確認する

税理士との契約は一年ごとの自動更新となっていることも多く、解約する時期を逃してしまうと、一年間現状のまま継続するか、新旧税理士と二重の支払いが発生してしまうという状態にもなりかねません。
ですので、まずは契約内容をきっちり確認するようにしましょう。
「文例書式ドットコム」さんが例として掲載しているひな型も自動更新になっています。

なお、どの時期がベストなのかについては、決算と申告が終わってからすぐというのがベストになります。
後ほどご説明しますが、新しい税理士もお客さんの状況や経理に慣れる時間が必要になりますので、決算や申告までに時間があればあるほど良いです。
逆に言うと、決算の直前で税理士を変更するのはあまりお勧めできません

新たな税理士と契約する

ご自身が新しい税理士に何を求めるかを明確にされたうえで、インターネットで検索する、知り合いに聞いてみるなどの方法で新しい税理士を探し、契約をします。
なお、当方では、契約に先立ち必ずお客様と面談をさせていただき、いろいろ気になる点などをお伺いさせていただき納得いただいた上でご契約していただくようにしております。

契約を解約する旨を伝える

新しい税理士と契約したら、現在の税理士に契約を解除する旨を伝えましょう。
なお、ご希望に沿う税理士が見つかるか不確定要素もあるため、必ず新しい税理士を見つけてから今の税理士に解約する旨を伝えるようにしましょう。
その際に解約の理由として、
①不満がある場合は、不満を正直に伝える
②「親戚が税理士事務所を開業して」や「取引先との関係でどうしても」等、もカドが立ちにくい理由を伝える
という2つの方法があります。
正直に伝える場合に注意すべき点として、顧問料が高いという理由で税理士変更されようとしているのでしたら特に問題はないと思いますが、他の理由の場合、「何とかその点については改善しますので、解約は思いとどまってください」と言われるとなかなか解約の意思を貫き通すことは難しく(私だけ?)、「改善する」と言って結局改善されなかった場合、先ほど書いたように、一年更新の契約になっていた場合、また一年待たなければならないというデメリットがあります。

必要な資料を返却してもらう

これが最も重要な点になります。
「同じ税理士なので新しい税理士に依頼して前の税理士から入手してもらおう」と考える方もいらっしゃると思いますが、基本的に税理士同士でやり取りすることはないので、会社側で確実に回収するようにしましょう。
返却してもらうべき資料は、以下の通りです。
特に、e-Taxの利用者識別番号とパスワードと届出書について、回収していなければ過去の履歴を見ることができなくなってしまい、「設備投資をしたのに消費税の還付を受けることができなかった」などと金銭的な不利益が発生してしまう可能性も考えられますので、必ず回収するようにしましょう。
現在の税理士から都度返却を受けている場合は回収の必要はありません。

  • e-Tax(国税)の利用者識別番号及び暗証番号:電子申告を行っている場合のみ
    ※e-Taxと届出書の両方がない場合、過去の届出の状況がすぐに把握できないので、誤った処理をしてしまい
     金銭的な不利益を被ってしまう可能性があります。特に消費税については、届出の有無で処理が大きく変わる
     ので注意が必要です
  • eLTAX(地方税)の利用者ID及び暗証番号:電子申告を行っている場合のみ
  • 過去の決算書及び申告書
  • 総勘定元帳
  • 扶養控除等申告書など、年末調整関係書類
  • 給与明細等給与関係の書類
  • 領収書や請求書など帳簿作成に必要な資料:記帳代行(帳簿作成)を依頼している場合は必ず

現在の税理士に伝える場合、この内容をそのまま伝えていただければ伝わると思います。

税理士を変更する理由

私の経験の中で税理士を変更する理由として多いのは次の6つの理由をよく耳にします。

  1. 会社が求めるサービスを提供していない
    融資のサポートを受けたいが、提供していないといったお話や、クラウド会計を導入したいが、現在の税理士は対応していない等というお話を聞いたことがあります。
  2. 税理士が高齢で引退する、もしくは亡くなった
    平均年齢が60代の税理士業界ならではのお話かもしれませんが、結構多い話ですし、よく聞きます。
    関係ないですが、以前税理士向けの雑誌で「40代、50代の若手税理士必見!」というタイトルの雑誌がありました。一般の会社だと50代だとそろそろ定年も見えてきているころだと思いますが・・・
  3. 担当者の交代が頻繁過ぎる
    税理士業界は人材の流動性が高く、魅力ある職場を求めて転職される方も多いです。
    逆に言うと魅力に乏しい税理事務所では退職が相次ぐことになってしまい、担当者変更が頻繁に起こるという事態が発生してしまいます。
    ちなみに、当事務所では、こちらに記載しているように、全てのお客様の対応は代表税理士の私がさせていただきますので、担当変更はありません。
  4. 会社の事業承継
    会社の事業承継に伴い、経営者が若返った場合も税理士変更の可能性があります。
    というのも、現在の税理士は先代の経営者の方からのお付き合いということになりますので、先代の経営者と年齢の近い方ということが多くあります。
    ですので、代替わりをした経営者の方からするとだいぶ年上の方ということが多く、なかなか腹を割った話がしづらい、あるいは、1.とも関係しますが、若い経営者のニーズに対応していないということも考えられます。
  5. 提案(情報提供)がない
    特にコロナ禍で聞くことが多い理由ですが、コロナ関係の補助金や融資制度の案内がないというご不満があり税理士変更をご検討される方もいらっしゃいます。
    当方では、顧問先のお客様に対しては面談の際の情報提供を行っており、顧問先のお客様以外でもメルマガ、資料のウンロードページを通じた情報提供を心掛けております。
  6. 顧問料が高い
    会社の業績等で支払うことができる余裕がなくなってしまったという絶対的に「顧問料が高い」という場合と、現在のサービスに比べて高いという相対的な場合の2パターンが考えられます。

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