大阪市都島区のBiz Bloom(ビズブルーム)経営会計事務所の税理士室田です。
皆様は、ご自身の会社の決算書をどのように活用されてますでしょうか?
税理士から返却された決算書のファイルをそのままキャビネットにしまって埃を被っているなんてことはないでしょうか?
本日は、4月に中小企業庁より発表されました「中小企業白書」の内容をご紹介しながら決算書を活用した財務分析についてご説明させていただきます。
今回の白書の内容は、中小企業の財務についての内容が多く含まれており、すごく勉強になる内容だと思います。
ちなみに、同様のお話を今週末に開催される経営者有志の勉強会でもお話させていただく予定です。
もしそのお話の資料をお望みの方は、こちらよりお問い合わせください。
中小企業白書とは?
中小企業基本法に基づいて政府が毎年国会に提出する「中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告」の略称。 1964年3月以来,毎年中小企業庁が国会に提出する。内容は最近の中小企業の動向,課題,当年度の中小企業施策などから成る。
コトバンクwebサイトより
ということで、毎年政府が発表する、普段新聞などで大々的に取り上げられることの少ない個々の中小企業の取り組みや、中小企業のマクロの状況が説明されていたりする報告書です。
全文は700ページ以上になりますので、概要だけでもご覧になっては如何でしょうか?
非常に勉強になる内容が盛りだくさんです。
財務分析の重要性
まずご紹介するのは、財務分析の重要性ということで、概要編の6ページに『【1-①】中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略』の記載があり、その図3として、「財務指標を計算している企業の各財務指標の水準(2019年)」というグラフが示されており、売上高経常利益率、損益分岐点比率、自己資本比率の各々の指標について、指標を計算している会社の方が計算していない会社よりも優れているという事実が示されていました。
売上高経常利益率、自己資本比率については高いほど良く、損益分岐点比率については、低いほど良い。
財務指標を計算している会社の方が優れている背景
個人的な見解にはなりますが、財務指標を計算している会社の方が優れている傾向が出る理由としては、「計算する」こと自体よりも、むしろ自社の決算に改めて目を向け、「なぜこんなコストがかかっているのか?」や「この負債は必要なのか?」など、お金の流れを含めた経営について考えるきっかけとなるからこそ優れた結果となっているのではないかと思う。
この話で思い出すのは、大学を卒業して入社したパナソニックで研修時に創業者の松下幸之助さんの著書を読む機会があったが、その一節で、
(講師として招かれた松下幸之助さんが「ダム経営」として、蓄えが十分で余裕のある経営を目指すべきというお話をされた際に)参加者の一人から、ダム経営の重要性は分かるが、どうやって実現すればよいのか?という質問を受けてそれに対し、「方法論はともかく大切なのはダム経営をやろうと思う事だ」という回答をされていたというエピソードです。(だいぶ前の話なので詳細は忘れてしましたが、大体の話の内容はこんな感じでした。)
ダム経営実現のためには、個々の会社によって方法が異なっているが、具体的な方法論を議論するよりも、会社の財務に目を向け、目指すゴールを明確にすべきという事を言いたかったのではないかと感じた。
ちなみに、今朝何故かFacebookの広告で「松下幸之助の経営理念・哲学を学ぶ、経営者・後継経営者のための研修セミナー。PHP研究所が長年の研究を基にご提供する充実の10カ月プログラムです。受講料:1,166,000円(税込)」という内容のセミナーが紹介されたが、給料をもらいながら(おそらく)このセミナーと同様の内容を、しかも松下幸之助さんと直接仕事をされていた方々から学べるパナソニックの新入社員時代の自分は非常に恵まれていたのだなと改めて思いました。
次の章で中小企業白書で紹介されている「売上高経常利益率」「自己資本比率」「損益分岐点比率」について紹介させていただこうと思います。
財務分析の方法と意味合い(売上高経常利益率)
売上高経常利益率は、決算書の「損益計算書」の「経常利益」を「売上高」で割ることで求められます。
計算した結果はそれ自体で何か意味があるものではなく、建設業界や製造業など、自社の属する業界の平均や自社が過去からどのような推移を辿ったかという自社の過去の姿と比較して現在の自社が置かれた状況を知ることができる。
具体例を示すとこのようになります。
業界平均との比較については、中小企業庁の「中小企業実態調査」の中に各産業別、更に規模別の売上高や利益の状況が公表されておりますので、それをご参照いただくのが良いと思います。(リンクはこちら)
データのとり方などは少し慣れが必要かも知れませんので、必要でしたら当方にお問い合わせください。
財務分析の方法と意味合い(自己資本比率)
自己資本比率は、「貸借対照表」の「純資産の部」を「負債・純資産の部」で割ることで
求められます。売上高経常利益率同様に業界平均や過去からの推移から現在の状況を知ることができます。
自己資本比率の業界平均についても同様にこちらから入手できます。
最後の指標の「損益分岐点比率」については、やや応用編になるというか、決算書だけでは分からないこともありますので、次回ご説明いたします。
(以前、「Uber Eatsを財務で考えてみた」でご説明した変動費と固定費の考え方です。)