個人事業主のM&A(実践編)

今回はこちらのお話の続編です。

■ 個人事業者のM&Aで気をつけること

◎ 個人資産の分離

個人事業主の事業において、 個人の資産が事業に利用されているケースも少なくありません。 例えば、 作業場が個人の保有である場合は、 これまで家賃は不要でしたが、 第 三者に譲渡した場合、 賃貸をするのか、 または売却するのか、 または移転してもらうのかを決めておく必要があります。

◎ 譲渡価額に対しての税金

自社株式の譲渡であれば約20%で譲渡にかかる税金は完結しますが、個人の事業譲渡にはその資産ごとに
税金の 計算が必要となります。
資産の内容、その金額によっては思いかけず高い税金が発生することもありえますので、
事前に顧問の会計事務所に相談されておくべきと考えます。
少し古いですM&A時の法人と個人の税額の比較をZOZOの前澤社長がyahooに株式を売却した際の金額を用いて
シュミレーションした資料を作ったことがありますので、もし具体的な金額等ご興味のある方はご一報ください。

◎ 買い手側への責任

M&Aは「法律のるつぼ」といわれるくらい、法的な問題 が多く存在します。
それらを専門家を交えしっかりと協議し、のちのち係争とならないように契約書を締結しておく必要があります。
M&Aが成約した後、売手の責任で、買い手に損害が発生した場合を売手として賠償すべきかどうかが争いになる
ケースが存在します。
そうならないように買収前にはデューディリジェンスという 監査をおこなうのが通例ですが、
小規模な事業譲渡の場合はその監査は簡易なものに留めて、もし将来売り手の責任で買い手に損害が発生したら
損害賠償をするという「表明保証」という契約条項が存在します。
とはいえ、この表明保証をいつまでとするか、具体的にどのような損害が発生した場合と特定していくという、
繊細な契約の策定作業が重要です。
この「表明保証」については、法人のM&Aにおいてもお互いの利害がぶつかり合ってもめることが多いポイントです。
どんな不利な契約であってもそのときによく見てなかった、説明を受けなかったでは通りません。
したがって、個人事業主の事業譲渡といっても必ず法律の専門家を交えてチェックをしてもらいましょう。

さて、事業に価値があるかどうかかはご自分よりも第三者が高い評価をするケースが多いようです、 廃業やむ無しとお考えの場合でも、その前に相手探しをしてみて、それでも見つからねば廃業を選択でも遅くはないと考えてはがいかがでしょうか。

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