会社はいくらで売れると思いますか?②

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■ 基本目線は会社の現在価値+将来価値を合算したのが会社の価値

それでは、 第三者に譲渡する場合のおすすめの 「価額の決め方」 をお教えしましょう。 会社がいくらで売れるか つまり 「会社の価値」 には2つの面があります。

①会社の現在の時価価値に着目

具体的には純資産=自己資本の時価を算出します。 この作業は、 顧問の会計事務所に手伝ってもらいましょう。
あくまで譲渡希望価額のレンジ (幅) を想定する作業なので、 厳密な高精度の時価を算出する必要はありません。
不動産は固定資産税評価額や路線価を参考に、上場株式は評価日現在での終値で、事業資産は簿価ベースで、
保険契約は解約時の時価(解約返戻金)を参考にする程度で大丈夫です。 あくまで概算の数値把握で良いと思います。
相続税を計算する際の「取引相場のない株式の評価」における純資産価額方式と同じです。

②「会社の将来価値」 に着目

「将来価値」 とは将来どのくらいのお金 (キャッシュ) を生み出す事業なのかということになりますので、
「キャッシュフロー」を算出し、 その何倍 (何年分) を先取りして手放すかという判断となります。
このキャッシュフローの何倍(何年分)の金額が「営業権」や「のれん代」 と呼ばれる金額に相当します。
キャッシュフローは税引後の手取収入で計算します。
キャッシュフロー=経常利益(営業利益のケースも)+減価償却費-法人税等
この2つの価値を合算したのが 「会社の価値」 として算定を行うのが望ましい会社の価値の評価方法です。
会社の価値あなたの会社がいくらで売れるかは、時価純資産+キャッシュフローの何倍 (何年分)会社の現在価値+営業権 (のれん代)で推定ができます。
スモール M&A でのこの営業権の評価は3 倍 (3 年) 程度が成約に至りやすい金額と考えます。
なかには事業内容に独自性や先進性があるなどで、 多くの買い手から引き合いがあり、 競争入札の様な状況となった場合には、
この営業権の評価が 5 倍~ 7 倍となる水準で成約する案件もあります。この方式は、M&A仲介会社がよく使う方式ですので、「仲介会社方式」と呼ばれることがあります。
上場企業や大手の企業買収ファンドなどは DCF (ディスカウントキャッシュフロー) 方式とよばれるキャッシュフローのみに着目した会社の価値の算定方法を採用しています。
また、 キャッシュフローの計算方法では税引後の利益ではなく、 税引前としたり、 譲渡後は先代経営者等に係る役員報酬などの経費が削減できることから、
キャッシュフローを調整して、譲渡価格を算定するケースも少なくありません。

このように、M&Aは交渉する相手によって計算ロジックが異なってきますので、相手に合わせた方式を選ぶことが重要です。
実際に私が経験した案件でも、私どもの買い手はDCF方式で計算している一方で、売り手は仲介会社方式で計算していたので、
全く話がかみ合わず膨大な時間をロスしていたというケースもありました。
スモール M&A においては、 売り手には売り手個別の価値判断の基準があって良いので、
目線は低い場合はこのくらいで高い目線はこのくらいというレンジとして希望価格を決めるのが交渉を進める上での有効な手段となるのです。
早速、 上記の計算式で自社の事業価値を診断されてはいかがでしょうか?

もし、お手伝いが必要な方はお気軽にお問い合わせください。

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