記帳代行(帳簿作成)は自社で行う?税理士に任せる?

大阪市都島区のBiz Bloom(ビズブルーム)経営会計事務所の税理士室田です。
会社や事業で使った経費の領収書や銀行口座の出入りを記入した帳簿は自社(ご自身)で作成されてますでしょうか?それとも税理士にお任せしてますでしょうか?
お客様と面談している中で、しばしば「どちらが良いですか?」と質問を受けることがありますので、今日はそのメリットとデメリットについてご説明させていただこうと思います。
ちなみに、税理士業界では、自社で帳簿を作成することを「自計化」、反対に税理士に依頼する場合「記帳代行」と呼ぶことが一般的ですので、この後も「自計化」、「記帳代行」という表現を使用させていただきます。

判断のポイント

詳細なメリットとデメリットは次の章以降で説明しますが、すごくざっくり整理するとこんな場合は、税理士に帳簿作成を依頼されても良いかと思います。
起業直後や新規事業の立ち上げ等会計以外の仕事に全力を注ぐ必要がある場合
資金が潤沢で資金繰りに困ることがない場合
従業員を雇わず事業をされている等、収入や支出は帳簿を作成しなくても大体把握できる場合
たまに「絶対に自社で帳簿作成すべし」という方針の税理士さんもいらっしゃいますが、事業の状況によっては当面は記帳代行を依頼された方が良いケースもあります。
理想の最終形としてはもちろん自社で経理をした方が良いのですが、一足飛びに理想にたどり着くことができないという現実もあると思いますので。

記帳代行のメリット

① 時間を節約できる

これは感覚的にご理解いただけると思いますが、経理をするためには、領収書などの書類を整理して、それを適切に会計ソフトに入力する必要があります。
そのためには、当然少々の簿記の知識は必要となります。(簿記検定の資格を取るほどではないと思いますが、全く簿記を知らないというのであれば厳しい話になると思います。)
最近では、マネーフォワードfreeeなどの「クラウド会計」と呼ばれる会計ソフトがあり、インターネットバンキングを通じて銀行口座の入出金やクレジットカードの明細データを会計ソフトに取り込んで、紙の書類を入力することなしに帳簿作成できるソフトもありますが、その前に設定をしたり、適切に取り込まれているかのチェックをする必要があります。
仮に、月200万円稼ぐ経営者であれば1日8時間、月22日勤務として、時給は約12,000円になります。
簿記の基礎を学習し、領収書を整理し、入力する、特に慣れていないと結構時間がとられることになると思いますので、かなりコストがかかると思います。

もし税理士に依頼された場合、ほとんどの税理士は帳簿作成に関しては相当な経験があることが一般的ですので、全体で見た場合時間の短縮が図ることができると思います。

ですので、起業直後で経理以外にも対応しなければならないことが多い段階では税理士に帳簿作成を依頼される方が合理的なケースが多いように思います。

記帳代行のデメリット

① コストがかかる

これも感覚的にご理解いただけると思いますが、帳簿作成については別料金になっている会計事務所がほとんどです。
当事務所の場合でも、通常の顧問料と別にオプションという形でサービスを提供させていただいております。

② 帳簿作成に時間がかかる

帳簿作成を税理士事務所に依頼した場合、
①自社での領収書などの帳簿整理

②会計事務所に送る

③会計事務所で入力

④不明点の質疑応答

⑤帳簿の完成
となり、自社で帳簿作成する場合に比べて「会計事務所に送る」や「質疑応答」というプロセスが追加されますし、また会計事務所が多数請け負っている場合、作業の着手に時間が掛かるという事もあります。
更に自社で経理をしていると「主要なとこだけ入力してざっくり数字を知りたい」という要望にも対応することができますが、税理士に依頼していると帳簿が完成するまで数字を教えてくれないので実績を把握するのも時間が掛かります。

③ 内容の正確性が担保されないことがある

これは②で書いた「不明点の質疑応答」という点に関係しますが、税理士は、経営者ご本人や社内にいる方と異なり、会社で過ごす時間も限られることから支払いの内容について十分認識していないことが考えられます。
例えば、あるお客さんのところを訪問する際に、電車とタクシーを使って移動したとして、自社で経理をしていればタクシーの領収書を会計ソフトに入力する際に「そういえば電車も使ったな」という事で領収書の残っていない電車についても支払として認識することができますが、税理士に依頼した場合、税理士側ではタクシーの領収書を見てタクシー代を入力するのみとなってしまいます。

④ コストや会社の数字に対する認識が不足する

自社で経理していれば、どのような内容でどの程度おカネが入ってきて、どの程度支払っているという事が身に染みて分かりますが、税理士に依頼した場合、税理士任せになってしまいそれが分からなくなってしまいます。
ですので、資金繰りのためにタイムリーに会社の数字を把握する必要がある場合や、銀行に対し自社の決算を説明する場合は、自社で経理をした方がタイムリーに数字を把握でき、的確な説明もできることになります。
ちなみに、当事務所の「財務顧問サービス」をご利用いただければ銀行への決算説明を同席させていただきますので、記帳代行のお客様でも安心して銀行への決算説明に臨むことができます。

自計化のメリットとデメリット

自計化のメリットとデメリットについては、記帳代行のメリットとデメリットの裏返しになりますので、
メリットとしては、①税理士報酬をセーブできる ②帳簿作成の時間を短縮できる ③取引内容の正確性が担保される ④コストや会社の数字を認識することができる
一方で、デメリットとしては、帳簿作成に時間がかかる
という点があります。

記帳代行から自計化にステップアップする場合

当事務所では、記帳代行から自計化にステップアップされるお客様のご支援も積極的にさせていただいております。
自計化の「帳簿作成に時間が掛かる」というデメリットに対し、例えば現金の出入りについてエクセルで表を作成し、それを再度入力することなくエクセルファイルのまま会計ソフトに取り込む方法等様々な合理化手段をご提案させていただきますので、ご関心のあるお客様はお問合せいただければ幸いです。
(個々の合理化手段についてはまた別途記事を作成させていただく予定です、乞うご期待)

問合せはこちらからお願いします。

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