所得拡大促進税制について

本日は給与の支払額が増えた場合にその増加分に応じて一定の金額が税金から控除される制度「所得拡大促進税制」について解説したいと思います。

今年は新型コロナウィルス流行の影響で従業員の方の賞与や給与をカットせざるを得ない状況にあったが、流行が終わり次第例年通りに賞与と給与を支給したい、あるいは、大変な状況の中、頑張ってくれた従業員に報いるために賞与などを上乗せして支払いたい、そんな経営者の皆さんに耳よりの情報をお届けしたいと考えております。

■ 所得拡大促進税制とは? ━━━━━・・・・・

青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

■ 制度の概要  ━━━━━・・・・・

【通常】
「継続雇用者給与等支給額」が前年度比で1.5%以上増加した場合...
→給与総額の前年度からの増加額の15%を税額控除
【上乗せ】
「継続雇用者給与等支給額」が前年度比で2.5%以上増加し、一定要件を満たす場合...
→給与総額の前年度からの増加額の25%を税額控除
<上乗せ適用の要件>
上記要件に加え、以下のいずれかの要件を満たすこと
① 適用年度における教育訓練費の額が前事業年度における教育訓練費の額と比べて10%以上増加していること
② 適用年度終了日までに経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われたと証明されていること

■ 教育訓練費増加要件について ━━━━━・・・・・

①対象となる「教育訓練費」
中小企業庁のホームページ
リンクはこちら)によると、
(1)法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)
(2)他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)
(3)他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)
とかなり幅広い対象になっております。
ただし、研修参加中の給与や研修会場までの交通費は対象となりません。
②明細書の添付
教育訓練費増加要件で上乗せの適用を受けようとする場合には、「教育訓練等の実施時期、教育訓練等の実施内容及び実施期間、教育訓練等の受講者、教育訓練費の支払証明を記載した書類」を
申告書に添付することが必要です。
形式は自由で、教育訓練等の実施時期、実施内容、受講者、支払証明を記載しなければならないことになっております。

■ 経営力向上要件について ━━━━━・・・・・
 「制度の概要」②の通り、経営力向上要件を満たすことで、上乗せ措置を受けられる可能性があります。
<税額控除を適用するまでの流れ>
①経営力向上計画の認定

②経営力向上報告書の提出

③税務申告(必要書類を添付)にて税額控除を適用
<経営力向上計画とは?>
事業者がコスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。

計画が認定された事業者は、税制や金融の支援を受けることができます。
また、計画申請においては認定支援機関のサポートを受けることが可能です。

■ 最後に  ━━━━━・・・・・

まだまだ新型コロナウィルスの勢いは衰えることがない状況下ですので、今年この税制の適用を受けることのできる
会社は限られるかと思いますが、来年こそはこの状況を脱して適用を受けられる会社が多数出てきたらよいなと思ってます。

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